事業ドック / 01_戦略 / KPI設計
KPI設計
事業の生死を測る指標を3層に分けて整理。第1層(最重要)は週次、第2層(重要)は月次、第3層(補助)は月次〜四半期で見る。フェーズによって追う優先度が変わる。
全体像(3層の使い分け)
KPIを 「どれくらい重要か」「どれくらいの頻度で見るか」 で3層に分ける。
上の層が動いたら、下の層で「なぜ?」を深堀りするのが使い方の中心。
🎯
第1層 = 最重要KPI 4指標
事業の生死を直接表す数字。動いたら即対応。「結果」を測る
毎週 確認
有料会員数
MRR
新規 / 月
解約率 / 月
📊
第2層 = 重要KPI 10指標
健康診断用。第1層の変化の「理由」がここで見える
月次 確認
フリーミアム数
クレカ登録数
F→T転換率
T→有料転換率
CAC
LTV
LTV÷CAC
1ヶ月後継続率
3ヶ月後継続率
6ヶ月後継続率
🔍
第3層 = 補助KPI 5指標
改善のテコ入れ材料。仮説検証や、何から手をつけるかの判断に
月次〜四半期
機能別利用率
アクティブ率(DAU÷MAU)
ユーザータイプ別構成
マーケ経路別の獲得
NPS(推奨意向)
具体例で読み方:第1層で 解約率が急上昇 →
第2層で 1ヶ月後継続率が落ちている と判明 →
第3層で 機能別利用率を見ると初動チェッカーがほぼ使われていない →
打ち手は「初動チェッカーの導線改善」、と原因と施策を順に特定できる。
🎯 第1層:最重要KPI(毎週見る)
この4つだけは毎週確認。事業の生死を直接表す。
有料会員数
月末時点で課金しているユーザーの数
損益分岐587人(月1〜2)/789人(月3〜)の達成度を測る
月の継続売上(MRR)
月額 × 有料会員数 の合計売上
事業の心臓。固定費を超えているかが一目で分かる
新規獲得数 / 月
その月に新しく有料になった人数
成長スピードの実態。マーケ施策の効果が一番に出る
解約率 / 月
その月に解約した割合(解約数 ÷ 月初会員数)
高いと「穴あきバケツ」状態。新規獲得しても貯まらない
📊 第2層:重要KPI(月次で見る)
ファネル・効率・継続の3視点で月1回の健康診断。
ファネルどこで人が脱落しているか
フリーミアム → トライアル → 有料 までの流れの「詰まり」を見る
フリーミアム利用者数
登録不要で訪れて中身を見た人の数
入口の量。SNS・口コミの効果がここに現れる
クレカ登録数(トライアル開始)
3日無料トライアルを開始した人数
本気度のあるユーザーの数。マーケの質の指標
フリーミアム→トライアル転換率
フリーミアム利用者のうち、クレカ登録に進んだ割合
無料層の「魅力度」。中身の出し方を調整する判断材料
トライアル→有料転換率
トライアル開始者のうち、3日後も継続した割合
プロダクトの満足度。低ければ機能か体験に課題
お金の効率1人にかけたコストと回収
「広告費をかけて獲った1人が、結局いくら払ってくれるか」を見る
1人あたり獲得コスト(CAC)
広告費・販促費 ÷ その月の新規有料数
獲得効率。下がるほど健全に拡大できる
1人あたり生涯売上(LTV)
平均単価 × 平均継続月数(粗利ベースが理想)
1人がトータルで払う額。継続率と単価の総合点
LTV ÷ CAC
LTVがCACの何倍か
3以上が一般的な健全ライン。1未満は赤字構造
継続の質続けて使われているか
解約率の単月だけでなく、登録月別の残存率も見る
1ヶ月後継続率
登録から1ヶ月後も継続している割合
初月離脱の量。オンボーディングの質を測る
3ヶ月後継続率
登録から3ヶ月後も継続している割合
プロダクトが習慣化しているかの目安
6ヶ月後継続率
登録から6ヶ月後も継続している割合
中長期的な事業の安定度。LTV算出の根拠
🔍 第3層:補助KPI(月次〜四半期)
改善のヒント・仮説検証用。重要だが、毎週は見なくていい。
機能別利用率
テーマ/需給/初動/基本シグナル それぞれを使ったユーザー割合
どの機能が刺さっているか。マーケ訴求や開発優先度の材料
アクティブ率(DAU÷MAU)
日々使う人数 ÷ 月に使う人数
習慣化の度合い。20%超なら健全と言われる
ユーザータイプ別構成
デイトレ/スイング/中期 などの分布
どの層が多いか把握。訴求や機能設計の判断材料
マーケ経路別の獲得
X/インフルエンサー/検索/口コミ別の新規数
どの経路が効いているか。予算配分の根拠
NPS(推奨意向)
「友人に勧めたいか」を0〜10点で聞いた指標
満足度の総合点。口コミ拡散の素地が分かる
KPIロジックツリー(MRRを起点に分解)
「何を増やせばMRRが増えるか」を計算式で分解。下に行くほど「実際に動かせるレバー」になる。色は3層のKPIと対応(赤=最重要 / 黄=重要 / 青=補助)。
使い方:MRRが伸び悩んだ時、ツリーを上から下にたどって「どのレバーが止まっているか」を特定する。例:MRR低調 → 新規が少ない → フリーミアム数は出ているが転換率が低い → クレカ登録の動線改善が必要、など。
ファネル全体像(どこのKPIを見るかが視覚化)
フリーミアム利用者
📊 第2層: フリーミアム利用者数
📊 フリーミアム→トライアル転換率
↓
クレカ登録(3日トライアル)
📊 第2層: クレカ登録数
📊 トライアル→有料転換率
↓
有料会員(月額2,980円)
🎯 第1層: 有料会員数 / MRR / 新規獲得数
📊 1ヶ月/3ヶ月/6ヶ月後継続率
↓
フェーズ別フォーカス
同じKPI群でも、フェーズによって「特に追うもの」が変わる。
| フェーズ |
特に追う指標 |
理由 |
| ベータ前 |
事前登録数
X反応(フォロワー・反響)
|
期待値の見える化。リリース時の動員力を測る |
| ベータ(〜500人) |
有料会員数
解約率
機能別利用率
|
製品が刺さるかの初期検証。離脱と機能利用の偏りを早期発見 |
| 拡大期(〜7,000人) |
新規獲得数
CAC
転換率(各段階)
|
規模化の効率。獲得コストと転換率の最適化が中心テーマに |
| 安定期(7,000人〜) |
LTV / LTV÷CAC
継続率(1/3/6ヶ月)
NPS
|
継続の質と単価UPが主戦場。上位プラン展開・解約防止の根拠 |
補足
- 計測の前提:分析基盤(GA4 / Mixpanel / 自前DB等)の整備が必要。最低限「登録時刻・最終アクション時刻・課金履歴」の3点は早期に取れる仕組みに。
- 第1層は週次レポート化を推奨。毎週金曜などで習慣化すると変化に気づきやすい。
- マーケ経路別の獲得は、X/インフルエンサー/検索/口コミの紐付けが要設計(UTMパラメータや紹介コード)。